空間ミックス:音に包まれる

ふつうの睡眠サウンドは、一本のループ音源です。ひとつの雨音が、最初から最後まで平らに耳へ届きます。空間ミックスはそこが違います。雨、波、虫の声といった要素を円形のキャンバス上の別々の位置にドラッグして配置する、複数トラックの空間サウンドスケープです。音が自分のまわりに散らばっている感覚が生まれます。

空間オーディオのスイッチ:2 とおりの聴きかた

空間の効果は端末側のスイッチ(設定 → オーディオ → 空間ミックス)で切り替えます。初期状態はオフです。

  • オフのとき:すべての音源は中央に置かれ、距離は音量だけで表されます。要素をドラッグしても変わるのは大きさだけです。どんなイヤホンやスピーカーでも動作し、消費電力の増加はありません。
  • オンのとき:キャンバス上の位置にもとづいて音源が実際に方向をもって鳴り、左右と遠近がはっきり感じられます。ドラッグすると方向がその場で変わります。

オンにすれば、イヤホンでの効果がはっきり分かります。空間オーディオは全員に強制するものではなく、あくまで拡張として設計しています。だからスイッチの奥に置き、必要な人がオンにするかたちにしました。

ヘッドトラッキング:音はその場にとどまる

AirPods(Pro、Max、第 3 世代)または H1/H2 チップ搭載の Beats を使っている場合、空間オーディオをオンにするとヘッドトラッキングも働きます。頭を動かしても、それぞれの音は空間上の位置を保ちます。現実の音源がその場から動かないのと同じで、自然のなかで音に囲まれているような没入感が生まれます。

3 秒ほど動きが止まると、そのとき向いている方向を「正面」として音場が自動で再センタリングされます。これはリラックスや寝入りばなを想定した設計です。目を閉じていて画面という手がかりもない状況では、ずっと同じ方向を向いている必要はないからです。

それ以外のイヤホン、有線イヤホン、スピーカーでは、ヘッドトラッキングは静かに無効になります。トラッキングはなくなりますが方向の配置は残り、エラーも通知も出ません。

空間のあるサウンドスケープが、なぜリラックスを助けるのか

単調で動かない音は、脳が簡単に切り捨ててしまいます。方向と奥行きのあるサウンドスケープは、現実の自然環境に近いものです。頭上に雨、左手に小川、遠くに虫の声。この空間的な広がりがあると、脳は入り込みやすくなり、警戒をゆるめ、覚醒から眠気へと移りやすくなります。

消費電力について

初期状態のオフでは、追加の消費はありません。オンにして再生しているあいだは、空間オーディオの処理が一定の CPU を使います。本物の空間オーディオに伴う避けられないコストですが、妥当な範囲に収まっています。一時停止中やアイドル時には、システムがオーディオのハードウェアを自動で停止します。テストでは、アイドル時の消費はほぼゼロで、端末が通常どおりスリープするのを妨げることもありませんでした。